今話題の世界遺産登録に関して、2題を記しましょう。
ひとつは、世界自然遺産登録へ向けての学術調査のニュースであり、もうひとつは世界遺産暫定リストに載っている内容への登録延期勧告のニュースです。
平成20年5月22日(木)
静岡新聞朝刊 県内総合版記事より
7月から南ア学術調査
世界自然遺産登録向け検討委 国などへ情報発信
南アルプスの世界自然遺産登録に向けて学術的価値を検証する学術検討委員会(委員長・佐藤博明静岡大元学長)は21日、本年度初会合を静岡市役所静岡庁舎で開いた。昨年度実施した森林植生と地質・地形、動植物種の予備調査の結果を踏まえ、本年度は7月から来年3月にかけて登録基準を意識した学術調査を実施し、南アの特殊性や独自性を検討することなどを決めた。
南アルプスに関する学術的知見の集積を多方面から進めるため、同検討委は本年度から学識者らの委員を4人増やしオブザーバーを含め14人態勢となった。学術調査では、昨年度の動植物種の調査結果からレッドデータブック掲載種や固有種などを抽出し、南アに生育・生息する希少動植物種のリストとリーフレットを作成。国などの関係機関へ情報発信を行う。
学術調査と並行して、国立公園区域の拡大やシカの食害対策をはじめとする保護管理体制の構築、マスコミなどを対象としたモデルエコツアーの開催など南アルプスの保全と適正利用の促進に向けたエコツーリズムの推進方策の検討を進めることも確認した。
以上新聞記事より
なかなか用意周到な内容の検討だと思います。これくらいになぜ世界遺産なのか、なぜこの場所なのか、何が特殊であり、独自性があるかということを徹底的に検証するということが厳しい登録への条件となるわけです。
ところが、この検討委の会合があった翌々日に、大きなニュースとなったのが、なんと文化庁が世界文化遺産への登録を推薦している「平泉の文化遺産」について、イコモス(国際記念物遺跡会議)がユネスコ(国連教育科学文化機関)に対して登録延期を勧告したのです。その理由はといいますと、構成資産とテーマとの関係があいまいであり、世界遺産としての顕著な普遍的価値の証明が不足しているため、遺産の価値を証明する詳細な調査を求めたということです。つまり世界文化遺産登録への提案内容の根本的な見直しが必要となったわけです。
これはなかなか厳しい勧告ですね。今までの登録ならば、そんなに問題ない内容だったのですが、ここのところ世界各地での世界遺産登録が多くなってしまったこともひとつの原因と見る関係者もいるそうです。
これからいくと、南アルプスの世界自然遺産登録も内容を徹底的に検討しなければいけない場合になるかもしれませんね。日本では、現在暫定リストに9件が掲載されていますから、今後の暫定リストに追加は相当厳しい状況になりました。
さて、これを学術検討委員会はどう考えるか、そしてどう対応していくか難しい局面に立たされましたが、私個人的(学術には素人ですから、あまりあてになりませんが・・・)には学術検討委の考え方は間違ってはいないと思います。これを機会に更なる検討・検証を行ってぜひ登録されるようになってほしいですね。
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